会社の中では長く働いてきた。それでも、次の働き方を考えると「自分には何ができるのか」を説明しにくいことがあります。
経験を整理するときは、最初から立派な強みを探す必要はありません。担当していた仕事、そのとき困っていたこと、自分がしたことを分けて書くところから始められます。
私は現在56歳です。製造業で現場管理、総務、人事、管理職を経験し、会社に依存しない働き方を模索しています。現在はAIの活用やKindle出版、note、ブログなどにも取り組んでいます。
この記事では、これまでの経験を「次に何を試すか」へつなげるための整理方法を紹介します。読んだ後に、まず3つの担当業務を書き出せることを目指します。
キャリアの棚卸しでは、役職より仕事の中身を整理する
役職名は、会社での立場を伝える言葉です。一方で、別の職場や読者に経験を伝えるには、どのような場面で、何をしていたのかを補う必要があります。
「何人を管理したか」「どれだけ改善したか」といった数字があれば材料になります。ただし、記録がない数字を作る必要はありません。
担当していた範囲、判断したこと、調整した相手、作成したものも、経験を説明する材料です。
56歳の私の経験を、3つの仕事で具体化する
現場管理・総務・人事という区分だけでは、仕事の内容はまだ見えてきません。ここでは、私が実際に担当した仕事を次の形で整理します。
事例1:紙の記録を見直した安全衛生の仕事
困っていたこと: 複数地点のWBGT測定値を紙に記録し、Excelへ転記していました。そのため、記録と集計に手間がかかり、転記ミスのリスクもありました。
自分がしたこと: 測定・記録方法を見直し、Microsoft Formsなどを取り入れて、入力から集計までの流れを整理しました。
結果: 記録・集計を効率化し、管理者が現場の暑熱状況を把握しやすい仕組みに改善しました。
事例2:説明と手続きを並行して進めた人事の仕事
困っていたこと: 組織変更に伴い、限られた期間に社員への説明・面談、人員配置、各種手続きを進める必要がありました。
自分がしたこと: 総務・人事として、希望退職制度の運用、説明会・面談、退職手続き、人員配置・異動などを担当しました。
経験として残ったこと: 社員への説明から配置・手続きまで、一連の人事実務を進めた経験です。ここでは、担当した範囲を示し、施策の効果や社員の評価を推測して加えていません。
事例3:部門や外部業者をまたいで調整した工場管理
困っていたこと: 建屋・設備の維持管理に加え、工場閉鎖時には通常業務と並行して設備撤去や引き継ぎを進める必要がありました。
自分がしたこと: 設備撤去、建屋保全、業者・行政対応、閉鎖計画や各種引き継ぎに対応しました。
経験として残ったこと: 設備・安全・総務・外部業者をまたいで調整する経験です。工場全体の仕事を、複数の関係者と進める実務に関わりました。
たとえば、WBGTの記録管理では、測定値を集めるだけでなく、その後に誰がどう確認するかまで考える必要がありました。紙に書いた内容をExcelへ転記する運用を見直し、Microsoft Formsなどを使って入力・集計を整理しました。ここでは、短縮時間やミスの減少率など、数値による効果の比較は扱いません。
この仕事を「安全衛生を担当した」とだけ書くと、記録方法を見直した経験が隠れてしまいます。「情報が集まる流れを整理し、確認しやすい形にする」と書くと、ほかの仕事にもつながる行動が見えてきます。
人事や工場閉鎖の経験も同じです。会社や社員の個別事情を公開しなくても、自分が担当した説明・手続き・調整の範囲は整理できます。ただし、担当したという事実と、効果が数値で確認できたという話は分けておきます。
ステップ1:担当していた仕事を3つ書く
最初は、日常的に担当していた仕事を3つ書きます。仕事の大きさや評価は、ここでは決めません。
思い出しにくいときは、次の問いを使ってください。
- 毎週、毎月、繰り返し担当していたことは何か。
- 誰かから確認や相談を受けていたことは何か。
- 自分が休むとき、説明や引き継ぎが必要だったことは何か。
ここでは、会社名や個人名を書く必要はありません。後から公開する可能性があるなら、仕事内容が分かる範囲で匿名化しておきます。
ステップ2:困りごとと、自分の行動を分ける
仕事の名前が書けたら、その仕事で何が必要だったのかを整理します。
「調整を担当した」だけでは、行動が曖昧です。誰に何を確認し、どんな情報を整理したのかまで分けると、仕事の中身が見えてきます。
書く順番は、次の3つです。
- どのような状況だったか。
- 何が困りごとだったか。
- 自分は具体的に何をしたか。
チームで行った仕事は、チーム全体の成果と、自分の担当部分を分けて書きます。
ステップ3:結果と、確かめられる根拠を書く
結果を書くときは、数字が残っているかを確認します。記録があれば対象期間や比較条件もそろえます。
数字がない場合は、作成した資料や、確認できた変化を書きます。「業務が改善した」と広くまとめるより、何が変わったのかを具体的に書く方が、経験の説明になります。
変化が確認できなければ、成果として断定せず、実施した行動までを記録します。結果が分からない仕事も、経験から消す必要はありません。
ステップ4:別の場面でも使える力を言葉にする
行動と結果がそろったら、その仕事で使っていた力を考えます。
私の3つの経験から、実際に担当した行動を整理すると、次のように表現できます。
| 行動の例 | 言語化の候補 |
|---|---|
| 紙からExcelへ転記していた記録方法を見直した | 情報の入力・集計の流れを整理する |
| 社員への説明・面談から配置や手続きまで担当した | 相手への説明と必要な実務を並行して進める |
| 設備撤去や建屋保全、業者・行政への対応を進めた | 部門や外部の関係者をまたいで調整する |
この段階で「自分の強みはこれだ」と決め切らなくても構いません。実際の行動に合う言葉を仮に置き、他の経験にも共通するかを見ます。
ステップ5:次に使いたい経験を1つ選ぶ
経験を整理したら、次の3つの視点で見比べます。
- 説明できるか: 自分の担当範囲と行動を、具体例で話せるか。
- また取り組みたいか: 経験はあっても、今後は負担を減らしたい仕事ではないか。
- 小さく試せるか: 今の時間や環境で、次の行動を1つ決められるか。
「経験がある仕事」と「これから続けたい仕事」は、分けて考えて構いません。過去に担当していたからといって、次も同じ役割を選ぶ必要はありません。
転職を考えるなら、まず1件を職務経歴書の文章にする。経験を伝える仕事に関心があるなら、第三者にも分かる短い説明にする。ここでは、一度に全部を形にしようとせず、使いたい経験を1つ選びます。
発信へ進む場合は、経験をAIで発信に変える手順で、棚卸しした素材を記事へ整理する方法を紹介しています。副収入づくりの媒体を選びたい方は、ブログ・note・Kindleを比較した記事を参考にしてください。
まず3件を整理するための記入シート
以下をメモや表計算にコピーして使えます。1回で全項目を埋めなくても構いません。
| 項目 | 自分の記入欄 |
|---|---|
| 担当していた仕事 | |
| 当時の状況・困りごと | |
| 自分が具体的にしたこと | |
| 結果・確認できる変化 | |
| 根拠として残っている記録 | |
| 別の場面でも使えそうな力 | |
| 公開を控える情報 | |
| 今後も取り組みたいか・負担を減らしたいか | |
| 次に試す行動1つ |
最初の1件は、成果が大きかった仕事よりも、状況と自分の行動を具体的に思い出せる仕事を選んでください。そこから、ほかの2件も同じ形で整理してみてください。
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