50代になって転職や今後の働き方を考えたとき、
「自分には何ができるのだろう」
「長く働いてきたけれど、強みをうまく説明できない」
と感じることがあります。
私自身、56歳になってから、これまでの経験をあらためて整理する必要性を感じました。
製造業の現場管理、総務、人事、管理職など、長く働いてきた分だけ担当した仕事はたくさんあります。
しかし、いざ
「あなたの強みは何ですか」
と聞かれると、意外とうまく答えられないものです。
そこで大切になるのが、これまでの仕事を一度整理するキャリアの棚卸しです。
キャリアの棚卸しというと難しく聞こえますが、最初から立派な強みを見つける必要はありません。
まずは、
何を担当していたのか
どんな困りごとがあったのか
自分は何をしたのか
を順番に書き出せば十分です。
この記事では、私自身の製造業・管理職経験も例にしながら、50代から「次の仕事」や「新しい働き方」につなげるための整理方法を5ステップで紹介します。
さらに後半では、
今ある経験をそのまま転職に活かす方法
と、
今ある経験にAIなど新しいスキルを組み合わせる方法
の両方を紹介します。
50代のキャリア棚卸しでは「役職」より「仕事の中身」を見る
「課長をしていました」
「製造業で30年働きました」
「総務を担当していました」
これだけでは、実際に何ができる人なのかは十分に伝わりません。
会社によって、同じ役職でも仕事内容は違うからです。
例えば、同じ「製造業の管理職」でも、
- 人員配置
- 品質管理
- 安全衛生
- 設備管理
- 改善活動
- 部下育成
- 会議資料の作成
- 他部署との調整
- 外部業者との折衝
など、担当範囲は大きく違います。
そのためキャリアを整理するときは、
役職名ではなく「実際に何をしていたか」
まで掘り下げることが重要です。
数字で示せる実績があればもちろん役立ちます。
ただし、数字が残っていない仕事まで無理に数値化する必要はありません。
担当していた範囲、判断したこと、調整した相手、作成したものなども立派な経験です。
56歳の私の経験を3つの仕事で整理してみる
私自身の経験を例にしてみます。
「現場管理」「総務」「人事」という言葉だけでは、実際の仕事内容までは分かりません。
そこで、
困っていたこと → 自分がしたこと → 経験として残ったこと
に分けます。
事例1:安全衛生の記録方法を見直した
困っていたこと
複数地点のWBGT測定値を紙に記録し、その後Excelへ転記していました。
そのため、記録と集計に手間がかかり、転記ミスが起きる可能性もありました。
自分がしたこと
測定・記録方法を見直し、Microsoft Formsなどを使って、入力から集計までの流れを整理しました。
経験として残ったこと
単に「安全衛生を担当していた」だけではありません。
この仕事からは、
情報の入力・集計方法を見直し、確認しやすい仕組みに整理する力
と考えることができます。
事例2:説明と手続きを並行して進めた人事業務
困っていたこと
組織変更に伴い、限られた期間のなかで社員への説明や面談、人員配置、各種手続きを並行して進める必要がありました。
自分がしたこと
総務・人事として、説明会、面談、退職に関する手続き、人員配置・異動などに関わりました。
経験として残ったこと
ここから整理できるのは、
相手に説明しながら、必要な実務を同時に進める経験
です。
「人事を担当した」だけでは見えにくい能力です。
事例3:工場管理で複数の関係者を調整した
困っていたこと
建屋や設備の維持管理だけでなく、設備撤去や引き継ぎなどを通常業務と並行して進める必要がありました。
自分がしたこと
設備撤去、建屋保全、業者対応、行政対応、各種引き継ぎなどに関わりました。
経験として残ったこと
この経験からは、
社内外の複数の関係者を調整しながら仕事を進める力
を整理できます。
このように、「何を担当していたか」だけで終わらず、
そこでどんな行動をしていたのか
まで考えると、自分の経験が見えやすくなります。
ステップ1|担当していた仕事を3つ書く
まずは、これまで日常的に担当していた仕事を3つ書き出します。
最初から「一番すごい実績」を探す必要はありません。
むしろ、
- 毎週、毎月繰り返していた仕事
- よく相談を受けていた仕事
- 自分が休むと引き継ぎが必要だった仕事
- 周囲から頼られていた仕事
から選ぶ方が思い出しやすくなります。
例えば、
「安全衛生」
ではなく、
「暑熱対策のためにWBGTを測定・集計していた」
くらいまで具体的に書きます。
ステップ2|困りごとと、自分がしたことを分ける
次に、その仕事について、
- どんな状況だったか
- 何が困っていたのか
- 自分は何をしたのか
を分けます。
例えば、
「業務改善を担当した」
だけでは、何をしたのか分かりません。
しかし、
「紙に記録したデータをExcelへ転記していたため、入力・集計方法を見直した」
と書けば、行動が見えてきます。
重要なのは、
チーム全体の成果と、自分が実際に担当したことを分けること
です。
無理に自分一人の成果として書く必要はありません。
ステップ3|結果と根拠を確認する
次は結果です。
数字として残っている場合は、
- 人数
- 金額
- 件数
- 日数
- 期間
- 改善前後
などを確認します。
ただし、記録が残っていない数字を無理に作る必要はありません。
数字がなければ、
- 仕組みを変更した
- 新しい運用を開始した
- 資料を作成した
- 手順を整理した
- 関係者との調整を行った
など、確認できる事実を書けば十分です。
50代の職務経歴書では、派手な成果を作ることより、
「自分が何をしてきたのかを正確に説明できること」
の方が大切だと私は考えています。
ステップ4|別の仕事でも使える力に言い換える
ここがキャリア棚卸しの重要な部分です。
過去の仕事を、その会社だけで通用する言葉で終わらせず、
他の会社や仕事でも使える言葉
に置き換えます。
例えば、
| 実際にしたこと | 別の仕事にも使える表現 |
|---|---|
| 紙からExcelへの転記方法を見直した | 情報の入力・集計の流れを整理する |
| 社員への説明と手続きを進めた | 説明と実務を並行して進める |
| 業者・行政との対応を行った | 社内外の関係者を調整する |
| 現場の異常報告を確認した | 問題を早期に把握し対応する |
| 部下を指導した | 人材育成・教育を行う |
こうすると、
「自分は製造業しか経験していない」
という見方が変わります。
実際には、
改善する力
説明する力
調整する力
人を育てる力
情報を整理する力
など、別の仕事でも使える経験を持っている可能性があります。
ステップ5|これから使いたい経験を1つ選ぶ
キャリアの棚卸しをすると、多くの経験が出てきます。
しかし、全部を次の仕事で使う必要はありません。
ここでは次の3つで考えます。
1. 説明できるか
自分が何を担当し、何をしたのか具体的に話せるか。
2. これからも続けたいか
経験はあっても、もう続けたくない仕事もあります。
できることと、やりたいことは別です。
3. 小さく試せるか
転職する。
資格を取る。
副業を始める。
発信してみる。
いきなり大きく変えるのではなく、小さく試せるものを選びます。
50代になると、
「できる仕事だから次も同じ仕事をする」
だけで考える必要はないと思います。
過去の経験の中から、
これからも使いたいものを選ぶ
という考え方もできます。
棚卸しした経験を「今の市場価値」に置き換えてみる
キャリアの棚卸しをすると、自分の経験は整理できます。
ただし、
その経験が転職市場でどの程度評価されるのか
までは、自分だけでは判断しにくいことがあります。
例えば、
「総務を長く経験してきた」
「人事として面談や配置に関わった」
「管理職として複数部署を調整した」
という経験があっても、
どんな企業なら評価されやすいのか。
どのくらいの年収帯が現実的なのか。
どの経験を職務経歴書で強く出すべきなのか。
これは求人市場を見ないと分かりません。
特に、
- 経理・財務
- 人事・労務
- 法務
- 情シス
- 経営企画
などの管理部門経験がある人は、管理部門に特化した転職サービスを使って市場価値を確認する方法もあります。
「LX Career」は、管理部門に特化した転職エージェントで、転職をすぐに決めていない段階でも市場価値や年収の目安を確認できます。
約90秒の年収診断があり、管理部門出身のアドバイザーに相談できるのも特徴です。
大手の総合型転職エージェントでは、
「自分の専門性が十分に伝わらない」
と感じる人には、特化型サービスが合う場合があります。
ただし、中心の利用層は20代後半〜40代とされているため、50代の場合は対象求人や利用条件を公式サイトで確認してから利用した方がよいでしょう。
50代は「経験+新しいスキル」で考えてみる
一方で、
「今までの経験をそのまま転職に使うだけではなく、新しいことも始めたい」
という人もいると思います。
その場合は、
これまでの経験に、新しいスキルを組み合わせる
という方法があります。
例えば私の場合なら、
- 製造業経験 × AI
- 管理職経験 × AI
- 総務・人事経験 × AI
- 業務改善 × AI
- 文章作成 × AI
という組み合わせが考えられます。
50代から新しいことを始めるとき、
「全部ゼロから覚え直さなければならない」
と考えると負担が大きくなります。
しかし、
30年近く積み重ねてきた経験を土台にして、新しい道具を一つ加える
と考えると、少し取り組みやすくなります。
私が生成AIを使って感じたこと
私は現在、ChatGPTなどの生成AIを、
- 考えの整理
- ブログ記事の構成
- Kindleの企画
- note記事のアイデア整理
- 文章のたたき台
- 業務改善の検討
などに使っています。
実際に使って感じるのは、
AIだけを覚えても、それだけでは十分ではない
ということです。
例えば製造現場についてAIに聞けば、一般的な回答はできます。
しかし、
「現場ではなぜ異常報告が遅れるのか」
「管理職はどこを確認すべきか」
といった部分では、実際の経験が重要になります。
だからこそ、
これまでの経験 × AI
という組み合わせに意味があると感じています。
AIは50代のリスキリングの一つになり得る
リスキリングというと、
「資格を取得する」
「専門学校へ通う」
というイメージを持つ人もいると思います。
もちろん資格取得も一つの方法です。
ただ、現在の仕事で、
- 資料を作る
- 文章を書く
- 情報を整理する
- アイデアを考える
- 業務を効率化する
といったことが多い人なら、生成AIの使い方を学ぶことも選択肢になります。
特に、これまで管理職や事務、営業、企画などを経験してきた人は、過去の経験をAIと組み合わせやすいと思います。
まずは独学で試してもいい
生成AIは、最初からスクールに通わなくても使い始められます。
ChatGPTなどを実際に使って、
「自分の仕事だったら何に使えるか」
を試してみる方法もあります。
私自身も、まず使いながら覚えてきました。
一方で、独学の場合、
- 何から学べばよいか分からない
- 情報が多すぎて迷う
- 仕事への応用方法が分からない
- 自分の使い方が合っているか判断しにくい
と感じる人もいると思います。
そうした場合には、体系的に学ぶ方法を検討するのも一つです。
生成AIを体系的に学びたい場合
生成AIについて、
「単にChatGPTを使えるだけでなく、仕事や副業で活用できるようになりたい」
という人には、生成AIスクールという選択肢もあります。
例えば「スタートAI」は、未経験者でもChatGPTなどの生成AIを学び、仕事の効率化、副業、キャリアアップなどへの活用を目指す実践型のAIスクールです。
動画を見るだけではなく、実践課題やサポートを通じて学ぶカリキュラムになっているため、
「独学では何を学べばいいのか分からない」
という人には検討しやすい方法だと思います。
オンラインで完結するため、近くにスクールがない地域からでも学べます。
ただし、AIスクールは誰にでも必要というわけではありません。
まず自分で使ってみて、
「もっと体系的に学びたい」
と感じた場合に検討するくらいでよいと思います。
転職を考えている人は、棚卸しした内容を職務経歴書へ
転職を考えている場合は、今回整理した内容を、そのまま終わらせず職務経歴書へつなげます。
例えば、
「製造現場の管理を担当」
だけで終わらず、
「安全衛生管理、設備管理、業務改善、人員配置などを担当」
と具体化します。
さらに、
「紙で管理していた記録方法を見直し、入力・集計方法を整理した」
といった行動を追加すると、自分の経験が伝わりやすくなります。
副業や情報発信を考えている人にも棚卸しは役立つ
キャリアの棚卸しは転職だけに使うものではありません。
自分の経験を、
- ブログ
- note
- Kindle
- 講座
- 副業
- コンサルティング
などに変える場合にも役立ちます。
「自分には発信できることがない」
と思っていても、30年近く仕事をしてきた人なら、実際には多くの経験があります。
私自身も、これまでの製造業や管理職経験を整理することで、ブログ記事にできるテーマが増えました。
AIを使うと、その経験を文章に整理する作業も進めやすくなります。
まず3件を整理するための記入シート
以下をメモやExcelなどにコピーして使ってください。
| 項目 | 自分の記入欄 |
|---|---|
| 担当していた仕事 | |
| 当時の状況・困りごと | |
| 自分が具体的にしたこと | |
| 結果・確認できる変化 | |
| 根拠として残っている記録 | |
| 別の仕事でも使えそうな力 | |
| 今後も使いたい経験か | |
| 新しく組み合わせたいスキル | |
| 次に試す行動 |
まずは3件で十分です。
大きな成果を出した仕事よりも、
自分が何をしたのか具体的に説明できる仕事
から始めてみてください。
まとめ|キャリア棚卸しの後は「2つの方向」がある
キャリアの棚卸しというと、
過去を振り返る作業のように感じます。
しかし、本当の目的は、
これまでの経験を、この先どう使うかを決めること
だと思います。
まずは、
- 担当した仕事を書く
- 困りごとと自分の行動を分ける
- 結果と根拠を確認する
- 他でも使える力に言い換える
- これから使いたい経験を選ぶ
この順番で整理します。
そして、その後の方向は大きく2つあります。
今ある経験を転職で活かしたい人
自分の経験が今の転職市場でどのくらい評価されるのか確認します。
管理部門の経験がある人なら、特化型転職エージェントを利用して市場価値を確認する方法もあります。
今ある経験に新しいスキルを足したい人
AIやリスキリングなど、新しいスキルを組み合わせます。
生成AIを仕事や副業で使えるところまで学びたい場合は、体系的に学べるサービスを利用する方法もあります。
50代からのキャリアは、すべてをゼロからやり直す必要はありません。
今まで積み上げてきたものを整理して、そのまま活かすのか。
新しいものを足して、別の使い方をするのか。
その選択肢を増やすことが、キャリア棚卸しの大きな意味だと思います。


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