今日は、太陽光発電所の管理に行ったときのことです。
現場に着いて歩き始めた瞬間、足元の感触がいつもと違うことに気づきました。
長靴の底が、
「ジュクッ」
と沈みます。
「あれ、こんなにぬかるんでいた場所だっただろうか」
そう思いながら周囲を見ると、発電所の一部が水浸しになっていました。
前回確認したときには、ここまで地面が水を含んでいた記憶はありません。
何が起きたのか分からないまま、まずは水が流れてきた方向をたどることにしました。
原因は、水路の分岐にあった
発電所の近くには、農業用の水路があります。
この土地から下流側は、現在まったく耕作されていません。
水を必要とする田畑がないため、支流へ水が入らないように、水路の分岐部分を板で塞いでいました。
ところが、その板がなくなっていたのです。
周囲を探しても、板らしきものは見当たりません。
長年の風雨で劣化し、崩れて流されたのかもしれません。
水路の清掃作業の際に、古くなった板が取り除かれた可能性もあります。
正確な原因は分かりませんでした。
ただ、板がなくなったことで、本来は流れないはずの支流へ水が流れ込んでいたのは間違いありませんでした。
長年使われていなかった水路は、草と泥で詰まっていた
止水板がなくなっただけなら、水が水路を流れていくだけで済んだかもしれません。
しかし、問題はその先にありました。
この水路には長い間、水が流れていませんでした。
水が来ない前提だったため、水路の中には草が生い茂り、底には泥がたまっていました。
水の通り道は、ほとんど残っていません。
そこへ突然、水が流れ込んだため、
水の流れが悪くなる。
水位が上がる。
水路から水があふれる。
土手を越えて発電所側へ流れ込む。
という状態になっていました。
地面は完全に水を含み、歩くたびに長靴が沈みます。
場所によっては、長靴を持ち上げるのに力が必要なほどぬかるんでいました。
大雨で一気に浸水したというよりも、止水板が無くなり少しずつ水が流れ込み、静かに状況が悪化していたようです。
まさに、静かに進行するタイプのトラブルでした。
まずは、自宅へ板を取りに戻った
原因が分かったため、最初に行ったのは、水路の分岐を再び塞ぐことでした。
しかし、現場には代わりになる板や材料がありません。
そこで、車で15分ほどかけて自宅まで戻ることにしました。
家に保管してあったコンパネを取り出し、水路の幅に合うように丸鋸で切断しました。
コンパネを車に積み、再び発電所へ戻ります。
現場に着いてから、水路の分岐部分へ板を差し込み、水の流れを止めました。
自宅まで戻る時間、コンパネを加工する時間、発電所へ戻って設置する時間を合わせると、50分近くかかりました。
板を1枚設置するだけの作業に見えます。
しかし、現場に材料がなければ、一度自宅まで戻り、寸法に合わせて加工し、再び運ばなければなりません。
小さなトラブルでも、実際の対応には時間がかかります。
草刈りと泥上げに、さらに1時間
止水板を設置して水の流入を止めても、作業は終わりではありませんでした。
すでに水路には水がたまり、草と泥が流れを妨げています。
水が抜ける状態を作らなければ、発電所内のぬかるみも改善しません。
まず、草刈機を使って水路の周辺と、水路内に生えていた草を刈りました。
草を刈ることで、ようやく本来の水路の形が見えてきました。
その後、水路の幅に入る細い鍬を使い、底にたまっていた泥を少しずつ上げました。
水を含んだ泥は重く、なかなかの重労働です。
一気に作業を進めると息が上がり、しんどくなります。
そのため、無理をせず、途中で何度か休憩を取りながら少しずつ作業を続けました。
草刈りと泥上げには、約1時間かかりました。
止水板の作り直しと設置に約50分。
水路の草刈りと泥上げに約1時間。
この日の応急処置だけで、合計すると約2時間かかったことになります。
板1枚の消失で、その日の予定が変わった
この日は、本来なら別の管理作業を行う予定でした。
しかし、現場に着いて水浸しになっていることに気づき、その日の予定は大きく変わりました。
原因を調べる。
自宅へ材料を取りに戻る。
コンパネを加工する。
現場へ戻って板を設置する。
草刈機で水路の草を刈る。
鍬で泥を上げる。
これだけの作業が、予定外に発生しました。
始まりは、分岐を塞いでいた板が1枚なくなったことです。
小さな変化に見えます。
しかし、その板がなくなったことで水が流れ込み、使われていなかった水路で水が詰まり、発電所内が水浸しになりました。
自然相手の管理では、一つの小さな変化が、想像以上の作業につながることがあります。
使わなくなった場所ほど、変化に気づきにくい
今回の件で改めて感じたのは、使わなくなった場所ほど、状態の変化に気づきにくいということです。
農地として使われていた頃であれば、水路の水は日常的に確認されていたはずです。
分岐の板が傷んでいれば、誰かが気づいたかもしれません。
水路に草や泥がたまれば、必要に応じて手入れされていたでしょう。
しかし、下流が耕作放棄地になり、水を使う人がいなくなると、水路そのものを見る人も少なくなります。
水を流さないから管理しなくてもよい。
そう思っているうちに、板は劣化し、水路には草と泥がたまっていきます。
そして、何かのきっかけで水が流れ込んだとき、一気に問題が表面化します。
自然は、人が手を入れなくなった場所から、少しずつ元の姿へ戻していくのかもしれません。
太陽光発電所の管理は、設備だけではない
太陽光発電所の管理というと、パネルやパワーコンディショナーの点検を想像する人が多いと思います。
もちろん、発電設備の確認は重要です。
しかし、実際に現場を管理していると、設備以外の問題にも多くの時間を使います。
草刈り。
除草。
水路の確認。
土手の点検。
周辺農地や耕作放棄地の状態。
今回のように、パネルやパワーコンディショナーに異常がなくても、周辺の水路や地形によって発電所内の環境は大きく変わります。
太陽光オーナーの仕事は、発電設備そのものよりも、周囲の自然と向き合う時間の方が長いのかもしれません。
今後確認していくこと
今回の経験を踏まえ、今後は発電所を確認するときに、次の点も意識して見ることにしました。
止水板に割れや腐食がないか。
板がずれたり、流されたりしていないか。
水路の中に草が生い茂っていないか。
底に泥がたまっていないか。
雨の後に水位が上がった形跡がないか。
土手を越えて水が入った跡がないか。
水が来ない前提の土地ほど、
「もし突然、水が流れてきたらどうなるか」
という視点が必要です。
水を使っていないから安心なのではありません。
使っていないからこそ、異変に気づく人が少なくなり、問題が大きくなるまで放置される可能性があります。
まとめ
今回の浸水トラブルは、分岐を塞いでいた板がなくなったことから始まりました。
その結果、長年水が流れていなかった水路へ水が入りました。
水路は草と泥で詰まり、水があふれ、発電所内の地面はぬかるみました。
復旧のために、自宅まで15分かけて戻り、コンパネを丸鋸で切断して、再び現場へ設置しに行きました。
その作業に約50分。
さらに、草刈機で水路の草を刈り、細い鍬で泥を上げる作業に約1時間。
合計すると、応急処置だけで約2時間かかりました。
板1枚の消失という小さな変化でも、自然相手では大きなトラブルにつながります。
太陽光発電は、設備を設置すれば終わりではありません。
周辺の草、水路、土、雨、風と付き合いながら、長く管理していく事業です。
今回もまた、実際に現場へ行ったからこそ気づけた問題でした。
自然相手の仕事は、やはり油断できません。
そして今日もまた、一つ経験値が増えました。


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