最近、太陽光発電について調べていると、
「系統用蓄電池」
「太陽光併設蓄電池」
「FIP+蓄電池」
という言葉をよく見かけるようになりました。
私自身、低圧太陽光発電所を運営していますが、最初は、
「どれも太陽光で作った電気を貯める蓄電池では?」
と思っていました。
ところが調べてみると、かなり違います。
特に大きな違いは、
どこから電気を充電するのか
そして、
何のために使うのか
です。
今回は、太陽光発電を運営している私自身の整理も兼ねて、
- 系統用蓄電池
- 太陽光併設蓄電池
- 家庭用蓄電池
の違いを、できるだけ分かりやすくまとめます。
まず結論|一番大きな違いは「蓄電池の立ち位置」
簡単に整理すると、
系統用蓄電池
電力系統そのものにつながり、系統から充電して系統へ放電する蓄電池
太陽光併設蓄電池
太陽光発電設備と組み合わせ、発電した電気を貯めて売る時間などをずらす蓄電池
家庭用蓄電池
住宅の太陽光や電力会社からの電気を貯め、家庭で使う蓄電池
です。
同じ「蓄電池」でも、
目的が違います。
系統用蓄電池とは?
系統用蓄電池は、電力系統へ直接接続して使う蓄電設備です。
資源エネルギー庁の資料でも、系統用蓄電池は系統に単独で直接接続する蓄電システムとして整理されています。
イメージとしては、
電力系統 → 蓄電池 → 電力系統
です。
電気が余っている時間に充電し、
電気が必要とされる時間に放電する。
太陽光発電所が横にある必要はありません。
ここが重要です。
系統用蓄電池は「電気を作る設備」ではない
太陽光発電は、
太陽の光から電気を作ります。
一方、蓄電池は、
電気そのものを作るわけではありません。
すでにある電気を、
一度貯めて、別の時間に使えるようにする設備
です。
私は、
「電気の倉庫」
のようなものだと考えると分かりやすいと思っています。
商品なら、
余っているときに倉庫へ入れ、
必要なときに出荷できます。
蓄電池も考え方は似ています。
なお、ここでの「電気を作らない」というのは、あくまで仕組みの話です。
法律上は、系統へ放電する大型の蓄電池事業は電気事業法の「発電事業」に位置づけられており、一定の規模以上になると発電事業の届出が必要です。
また、単独で設置する系統用蓄電池は「蓄電所」として、太陽光などの発電所と同様の保安規制を受けます。
なぜ系統用蓄電池が必要になっているのか?
理由の一つが、
再生可能エネルギーの増加です。
太陽光発電は、
晴れた昼間には大量に発電します。
しかし夜には発電できません。
風力も、
風が強いときと弱いときで発電量が変わります。
つまり、
再生可能エネルギーは、
電気を使いたい時間と発電する時間が一致するとは限らない
という特徴があります。
そこで、
余っている電気を蓄電池へ入れ、
必要になったら放電する。
系統用蓄電池には、この調整役としての期待があります。
資源エネルギー庁も、系統用蓄電池には再エネ余剰電力の吸収や調整力の提供などの役割が期待されるとしています。
太陽光併設蓄電池とは?
では、
太陽光併設蓄電池は何が違うのでしょうか。
こちらは名前の通り、
太陽光発電設備と一緒に設置する蓄電池
です。
例えば、
昼12時。
太陽光発電所では大量に発電しています。
しかし市場では電気が余っていて、
価格が安い。
そこで、
すぐに売らず、
いったん蓄電池へ充電します。
夕方になり、
太陽光発電量が落ちてきた。
一方、電力需要は増え、
市場価格も高くなった。
そこで蓄電池から放電する。
つまり、
発電した電気を売る時間をずらす
ことができます。
これが太陽光併設蓄電池の大きな役割です。
FIPと蓄電池は相性がいい
ここで関係してくるのが、
FIP制度
です。
FITの場合は、
基本的に決められた価格で売電します。
一方、FIPでは市場価格を意識して電気を売ります。
そのため、
価格が安い時間に売るより、
蓄電池へ充電して、
価格が高い時間へ移動させられれば、
収益機会が生まれる可能性があります。
だから最近、
「FIP+蓄電池」
という組み合わせが注目されています。
2025年から「系統から充電する併設蓄電池」も使いやすくなった
ここが少しややこしいところです。
「太陽光併設蓄電池なら、太陽光からしか充電できないのでは?」
と思うかもしれません。
以前は私もそう考えていました。
しかし制度は変化しています。
FIP電源に併設する蓄電池については、2025年4月から系統側からの充電を認めつつ、認定された再エネ発電設備に由来する電気量を按分してFIPプレミアムの対象とする制度措置が講じられています。
つまり、
太陽光併設蓄電池=絶対に太陽光からしか充電できない
という理解では、現在の制度を正確に説明できません。
ただし、
系統から充電した電気を全部「太陽光由来」として扱えるわけでもありません。
計量や制度上のルールがあります。
このあたりは、
「蓄電池を付ければ好きなように充放電できる」
ほど単純ではありません。
系統用と太陽光併設は似ているけれど同じではない
少し整理してみます。
| 比較項目 | 系統用蓄電池 | 太陽光併設蓄電池 |
|---|---|---|
| 主な接続先 | 電力系統 | 太陽光発電設備+系統 |
| 太陽光設備 | 必須ではない | 基本的に併設 |
| 主な役割 | 電力需給調整・市場取引など | 発電電力の時間シフトなど |
| 日当たり | 基本的に重要ではない | 太陽光側には重要 |
| 土地を見るポイント | 系統接続・道路・環境など | 日射+系統・発電設備条件 |
| FIPとの関係 | FIP発電所がなくても成立 | FIPとの組み合わせが重要 |
一番簡単に言えば、
系統用蓄電池は「電力系統が主役」
太陽光併設蓄電池は「太陽光発電所が主役」
と考えると分かりやすいと思います。
遊休地活用なら「系統用蓄電池」の話になる
ここも重要です。
最近私は、
使われていない土地の活用方法として、
低圧系統用蓄電池について調べています。
例えば、
- 日当たりが悪い土地
- 北向きの土地
- 山影になる土地
- 太陽光には狭い土地
- 毎年草刈りだけしている土地
などです。
太陽光発電なら、
日当たりが悪い時点で不利になります。
しかし、
系統用蓄電池なら、
太陽光を設置する必要はありません。
重要になるのは、
日射ではなく系統接続
です。
だから私は最近、
土地を見るときに、
太陽光なら「日射」
蓄電池なら「系統」
と考えるようになりました。
ただし「電柱があれば設置できる」ではない
これは何度でも書いておきたいところです。
土地のすぐ横に電柱がある。
だから低圧系統用蓄電池が設置できる。
とは限りません。
実際には、
- 系統容量
- 接続条件
- 道路
- 土地面積
- 土地形状
- 傾斜
- ハザード
- 近隣住宅
- 法規制
- 農地転用
なども関係します。
系統用蓄電池の接続については、国でも迅速な系統連系に向けた検討が続いています。
したがって、
外から土地を見ただけでは判断できません。
家庭用蓄電池はさらに目的が違う
もう一つ、
家庭用蓄電池についても触れておきます。
家庭用の場合は、
主な目的が、
家で使う電気を貯めること
です。
例えば、
昼間に住宅用太陽光で発電する。
余った電気を蓄電池へ入れる。
夕方や夜に使う。
あるいは、
安い時間帯の電気を蓄電池へ充電する。
停電したときの非常用電源として使う。
こうした使い方です。
つまり、
家庭用蓄電池は、
市場で電気を売買して利益を狙うことが主目的ではありません。
私も200万円の家庭用蓄電池を提案された
実は私自身も、
卒FITをきっかけに、
家庭用蓄電池の提案を受けました。
価格は約200万円。
ローンを組むと、
総支払額はさらに増えます。
自宅は旧料金プランを利用しているため、
実際の電気代削減額を計算すると、
私の場合は、
「今すぐ200万円払って導入するほどではない」
という結論になりました。
この経験からも、
「蓄電池なら何でも得になる」
とは考えないようにしています。
蓄電池は「何のために入れるか」を最初に決める
私は、ここが一番大事だと思っています。
蓄電池を検討する前に、
まず、
何のために入れるのか
を考える。
家庭なら、
電気代削減なのか。
停電対策なのか。
自家消費なのか。
太陽光発電所なら、
FIPで売る時間を変えたいのか。
出力制御対策なのか。
市場取引なのか。
遊休地なら、
系統用蓄電池の設置場所として使いたいのか。
目的によって、
選ぶ設備も事業モデルも全く違ってきます。
低圧太陽光オーナーとして私が注目しているのは2つ
今後、私が特に注目しているのは、
1.既存低圧太陽光+FIP+蓄電池
今あるFIT発電所を、
将来的にどう活用するか。
FITのまま続けるのか。
FIPへ移行するのか。
蓄電池を付けるのか。
これは既存太陽光オーナーとして気になります。
ただし、
私の発電所は現在24円/kWhのFITです。
安定した条件を捨ててまでFIPへ移行する価値があるのか。
ここは慎重に判断したいと思っています。
2.使われていない土地+低圧系統用蓄電池
もう一つが、
遊休地です。
日本には、
「太陽光には向かない」
「農業にも使っていない」
「毎年草刈りだけしている」
といった土地があります。
系統用蓄電池なら、
そうした土地にも違う評価軸が生まれる可能性があります。
これは、
太陽光発電をやってきた私にとって、
非常に興味深い変化です。
系統用蓄電池と併設蓄電池を混同しないことが大切
蓄電池関連の記事や広告を見ていると、
「系統用蓄電池」
という言葉がかなり広く使われることがあります。
しかし、
実際には、
発電所の横に置くのか。
系統へ単独接続するのか。
住宅で使うのか。
それによって、
設備も収益モデルも制度も違います。
だから、
「蓄電池が儲かるらしい」
という話だけで判断するのではなく、
まず、
どの種類の蓄電池の話をしているのか
を確認することが大切だと思います。
まとめ|同じ蓄電池でも「誰のための設備か」が違う
今回整理してみて、
改めて感じたのは、
蓄電池をひとくくりにして考えてはいけないということです。
系統用蓄電池
電力系統から充電して、
必要な時間に系統へ放電する。
電力系統を支える蓄電池。
太陽光併設蓄電池
太陽光発電と組み合わせて、
発電した電気を売る時間などを調整する。
(制度上、条件付きで系統からの充電も認められるようになっています。)
太陽光発電を有効活用する蓄電池。
家庭用蓄電池
太陽光や系統から充電し、
住宅で使う。
家庭の電気代削減や停電対策に使う蓄電池。
同じ「蓄電池」でも、
目的はかなり違います。
そして、
再生可能エネルギーが増えていくほど、
「電気を作る」だけでなく「いつ使うか」
が重要になっていくのだと思います。
太陽光発電を運営してきた私自身も、
これまでは、
「年間何kWh発電したか」
を中心に見てきました。
これからは、
「その電気をいつ、どう使うのか」
まで考える時代になってきたのかもしれません。
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「電柱が近ければいいのか」
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といったポイントについて解説しています。
遊休地について相談したい方へ
使っていない土地の活用に困っている方、
低圧系統用蓄電池に興味がある方は、
まず、
「この土地に可能性があるか」
という段階からでも大丈夫です。
土地の状況を確認し、分かる範囲で一緒に整理します。
▶ 遊休地・低圧系統用蓄電池について相談する

※土地が低圧系統用蓄電池の設置場所として利用できることを保証するものではありません。系統接続、法令、道路、土地条件、災害リスクなどによって利用できない場合があります。必要に応じて協力事業者をご紹介する場合は、事前に確認します。


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