FIT終了後はFIPへ移れる?低圧太陽光の5つの出口戦略

低圧太陽光発電所を運営していると、

最初の頃は、

「今年どれくらい発電するか」

「ローンを返せるか」

「売電収入はいくらになるか」

をよく考えます。

私もそうでした。

でも7年ほど運営してきて、最近は別のことを考えるようになりました。

FITが終わったあと、この発電所をどうするのか。

私が所有する低圧太陽光発電所は、FIT単価24円/kWhです。

今のところFIT期間はまだ残っています。

だから、

「FIT終了後のことなんて、まだ先では?」

とも思えます。

でも設備は少しずつ古くなります。

今年は田淵電機のパワコンで冷却ファンを3個交換し、猛暑時には高温エラーによる発電量低下も経験しました。

FIT終了が近づいてから、

パワコン。

売電先。

蓄電池。

売却。

撤去。

を一度に考えるのでは遅いかもしれません。

今回は、

FIT終了の前後に考えられる5つの出口戦略

を、既存の低圧太陽光オーナー目線で整理してみます。


目次

そもそもFITが終わると発電所も終わるのか?

まず整理しておきたいのは、

FIT終了=発電所終了ではない

ということです。

FITが終わるのは、

決められた価格で一定期間買い取ってもらう支援期間です。

設備が正常に動くのであれば、

FIT終了後も発電そのものは続けられます。

つまり問題になるのは、

発電した電気を、その後どう使うか、どう売るか

です。

ここから出口戦略が始まります。


出口戦略① 非FIT電源として売電を続ける

一つ目は、

FIT終了後も発電を続け、別の条件で電気を売る

方法です。

FIT期間中は、

例えば私なら24円/kWhという固定価格があります。

しかしFIT終了後は、

その価格で売り続けられるわけではありません。

その時点で、

小売電気事業者。

アグリゲーター。

需要家。

その他の買い手。

などと契約し、

非FIT電源として売電する形を考えることになります。

実際の買い手は誰か

実際の買い手は、主に次の3つが考えられます。

  • 小売電気事業者:相対契約で、固定価格や市場連動価格など、条件を決めて買い取ってもらう。
  • アグリゲーター:市場取引、発電予測、インバランス対応を代行し、卸電力市場などで売ってくれる。低圧のオーナーが自分で市場に参加するのは難しいので、実際の窓口はここになる可能性が高い。
  • 需要家(企業・工場など):PPAなどで直接売る。ただし、間に小売電気事業者が入る形が多く、規模の小さい低圧では相手を見つけにくい。

近くに電気を使う施設があれば、売らずに自家消費する選択肢もあります。

ただし、低圧の事業用で買取メニューが公開されている例はまだ少なく、住宅用の卒FITほど整っていません。

FIT終了のころには、買い手の顔ぶれも条件も変わっているはずです。

今は、どんな選択肢があるかを参考程度に知っておくことが大切だと思っています。


24円が終われば、収入は大きく変わる可能性がある

例えば、

年間10万kWh発電するとします。

FIT24円なら、

10万kWh × 24円

= 240万円

です。

仮にFIT終了後の売電単価が、

10円なら100万円。

8円なら80万円。

5円なら50万円。

となります。

もちろん、

5円・8円・10円は将来予測ではなく、比較のための仮定です。

ただ、

同じ発電量でも、

売電単価が変われば年間収入は大きく変わる

ということは分かります。

そのためFIT終了後は、

「どれだけ発電できるか」

だけでなく、

「いくらで売れるか」

が非常に重要になります。


出口戦略② FIT終了前に発電所を売却する

二つ目は、

FIT期間が残っているうちに発電所を売却する

方法です。

私自身も、

発電所の査定を受けたことがあります。

1基目は約1,500万円。

2基目は約1,800万円。

という査定でした。

もちろん、

査定額がそのまま手元に残るわけではありません。

ローン残高。

税金。

売却費用。

手数料。

なども考える必要があります。

それでも、

今売ればどれくらいの価値があるのか

を把握しておくことには意味があります。


FIT残存期間も資産価値の一つ

中古太陽光を購入する側から見ると、

残りのFIT期間は重要です。

例えば、

24円/kWhであと10年売れる発電所。

残り3年の発電所。

FIT終了済みの発電所。

では、

将来得られる収入の予測しやすさが違います。

そのため、

「FITが終わってから売る」より、FIT期間が残っている間に売却を考える

方が有利になるケースもあるでしょう。

売るつもりがなくても、

定期的に査定して、

資産価値を把握しておく意味はあると思っています。


出口戦略③ 設備を更新して長期運用する

三つ目は、

パワコンなどを更新し、FIT終了後も発電を続ける

方法です。

太陽光パネルは、

FITが20年で終わった瞬間に使用できなくなるわけではありません。

一方、

パワコンなどは途中で交換が必要になる可能性があります。

私の発電所でも7年目になり、

冷却ファンの劣化が出てきました。

これから、

パワコン本体交換が必要になる可能性もあります。

そこで考えるのが、

FIT終了後まで使うつもりで設備更新するのか

ということです。


パワコン交換は「あと何年使うか」で判断が変わる

例えば、

FIT終了3年前に大きなパワコン交換が必要になったとします。

その時、

「あと3年しかFITがないから交換しない」

と考えるのか。

FIT終了後も10年運営するつもりだから交換するのか。

判断は変わります。

つまり、

パワコン交換を考えるときにも、

FIT後の出口戦略が関係する

ということです。


FIT終了後、新たにFIPへ移行できるのか?

ここは誤解しやすいところです。

結論から言うと、

FITの20年間が終了したあと、そこから新たにFIP支援へ移行するわけではありません。

既存FIT設備からFIPへ移行する制度はあります。

しかしそれは、

FITの支援期間が残っている設備が、

途中でFIPへ切り替える仕組みです。

つまり、

FIT20年+FIP20年=合計40年支援される

という制度ではありません。

そのため、

FIPを検討するなら、

FIT期間が残っているうちに考える必要があります。

FITが終わってから、

「次はFIPへ」

という順番ではありません。


出口戦略④ FIT期間中にFIP+蓄電池を検討する

FIPを選択肢に入れるなら、

FIT終了後ではなく、

FIT期間が残っているうちに検討することになります。

FIPでは、

市場価格を意識して電気を売るため、

蓄電池との組み合わせが注目されています。

例えば、

昼間の市場価格が安い時間に、

太陽光で発電した電気を蓄電池へ充電する。

夕方など、

価格が高い時間に放電する。

こうした運用ができれば、

売電の時間をずらすことができます。

ただし、

蓄電池を付ければ必ず儲かるわけではありません。


蓄電池収益は電力管内によって変わる

ここも重要です。

系統用蓄電池や需給調整市場を考える場合、

収益性は全国一律ではありません。

例えば、

北海道。

東北。

東京。

中部。

北陸。

関西。

中国。

四国。

九州。

など、

どの電力管内で事業をするか

によって条件は変わります。

さらに、

参加する市場によっても違います。


募集量・価格・競争状況が違う

需給調整市場には、

複数の商品があります。

例えば、

一次調整力。

二次調整力。

三次調整力。

などです。

それぞれ、

  • 募集量
  • 応動時間
  • 継続時間
  • 上限価格
  • 約定条件

などが違います。

さらに、

電力管内によって、

募集量や需給状況も異なります。

つまり、

同じ蓄電池を設置しても、

関西と九州で同じ収益になるとは限りません。


「この蓄電池なら年○%」だけでは判断しない

もし、

蓄電池事業の提案を受けて、

「年間○%の利回りです」

と言われても、

私はそれだけでは判断しません。

確認したいのは、

その収益が何を前提に計算されているか

です。

例えば、

  • どの電力管内か
  • どの市場へ参加するのか
  • 想定募集量
  • 想定約定価格
  • 約定率
  • 充放電回数
  • 電力購入費
  • アグリゲーター手数料
  • PCS費用
  • 通信・制御費
  • 保守費
  • 蓄電池劣化

などです。


一番確認したいのは「想定約定価格」と「約定率」

ここは特に重要だと思っています。

収益シミュレーションでは、

想定約定価格を高く設定し、

高い約定率を前提にすれば、

数字上はかなり高収益に見せることができます。

でも、

実際にその価格で、

その頻度で約定する保証はありません。

だから私は、

「元が取れるか」

だけでなく、

その収益シミュレーションの前提は現実的か

を確認した方がいいと思っています。


出口戦略⑤ 発電事業を終了して撤去する

最後は、

発電事業を終了する

方法です。

例えば、

設備状態が悪い。

大きな修繕費が必要。

FIT終了後の売電単価では採算が合わない。

土地を別の用途に使いたい。

といった場合です。

無理に発電所を延命するより、

撤去して土地を別の用途に使う方が良い場合もあります。


廃棄等費用積立制度も確認しておく

10kW以上の事業用太陽光には、

廃棄等費用積立制度があります。

FIT・FIPの支援期間後半に、

売電収入などから外部積立を行う仕組みです。

将来的に、

発電所を撤去する際の費用に備えるための制度です。

ただし、

積立金があるから、

撤去費用が必ず全額まかなえる

とは限りません。

実際の撤去費。

運搬。

処分。

土地の原状回復。

などによって費用は変わります。

だから、

FIT終了が近づいたら、

いくら積み立てられているか

も確認しておきたいところです。


私ならFIT終了5年前を大きな判断時期にする

私自身なら、

FIT終了直前に考え始めるのではなく、

FIT終了5年前

くらいを一つの大きな判断時期にしたいと思っています。

例えば、

残り5年

発電量を確認。

設備状態を確認。

パワコン寿命を確認。

発電所の査定を取る。

FIT後の売電先を調べる。

FIPへ移行する意味があるか確認する。

蓄電池の採算も確認する。

残り3年

保有継続。

売却。

設備更新。

をある程度絞る。

残り1年

FIT終了後の売電契約。

設備更新。

または撤去。

を具体化する。

こんな流れです。


5つの出口戦略を整理すると

私が考える出口戦略は、

次の5つです。

① FIT終了後も非FITで売電する

設備を活用し続ける。

② FIT期間中に発電所を売却する

FITの残存価値も含めて資産を現金化する。

③ 設備を更新して長期運営する

パワコン交換などを行い、FIT終了後も発電を続ける。

④ FIT期間中にFIP・蓄電池を検討する

市場連動型の運用へ移る可能性を検討する。

⑤ 発電事業を終了して撤去する

採算性や土地活用を考えて事業を終了する。

どれが正解ということではありません。

発電所ごとに答えは違います。


私の24円FITなら今はどうするか

私の発電所は、

24円/kWhのFITです。

今のところ、

私はこの条件を簡単に手放すつもりはありません。

まずは、

FIT期間中を安定して運用する

ことが基本です。

ただ、

今年はパワコンの冷却ファンを3個交換しました。

設備は確実に古くなっています。

これから、

パワコン交換。

出力制御。

売却。

FIP。

蓄電池。

という判断が必要になる可能性があります。

だから、

FIT終了直前になってからではなく、

今から少しずつ情報を集めています。


FIT後まで使うなら「30年使う設備」として見る

もし、

FIT終了後も10年間発電を続けるなら、

設備は20年ではなく、

30年使うことになります。

そう考えると、

パワコン。

架台。

ケーブル。

遠隔監視。

フェンス。

土地。

の管理方法も変わります。

つまり、

FIT終了後の出口戦略は、

20年目だけの話ではありません。

今のメンテナンスにも関係しています。


まとめ|FIT終了後にFIPへ、ではなく「FIT中から出口を考える」

FIT終了後について考えるとき、

まず注意したいのは、

FIT終了後に新しくFIPへ移行すればいい、という仕組みではない

ということです。

FIPを検討するなら、

FIT支援期間が残っているうちです。

そして、

FIT終了の前後には、

非FIT売電。

発電所売却。

設備更新。

蓄電池活用。

撤去。

など、

いくつかの選択肢があります。

私は、

FIT終了を、

発電所を終わらせる日

ではなく、

次の運用方法へ切り替えるタイミング

と考えています。

だからこそ、

5年前。

3年前。

1年前。

と少しずつ判断していく。

20年目に慌てないために、

今から出口を考える。

これも、

低圧太陽光を長期運営するうえで大切な仕事だと思っています。


関連記事

このブログでは、

「FITからFIPへ移行して蓄電池を付けると儲かる?」

「低圧太陽光発電所は売るべき?持ち続けるべき?」

「低圧太陽光発電所の査定価格は何で決まる?」

「低圧太陽光7年目、修繕積立はいくら残す?」

など、

低圧太陽光の長期運営について実体験をもとにまとめています。

▶ ヒロの再設計ノート
https://aiworkstylelab.com/

今後も、

FIT・FIP、

蓄電池、

設備劣化、

出力制御、

発電所売却、

FIT終了後の運用

などについて発信していきます。

※FIT・FIP制度、需給調整市場、廃棄等費用積立制度などは今後変更される可能性があります。実際にFIP移行、売電契約変更、蓄電池導入、設備変更、撤去などを検討する場合は、最新の制度・市場条件をご確認ください。

にほんブログ村

人気ブログランキング

ConoHa WING

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次