低圧太陽光発電所を長く運営していると、
「今、この発電所を売ったらいくらになるのだろう?」
と気になることがあります。
私も実際に、自分が所有する2基の低圧太陽光発電所について査定を受けたことがあります。
1基目は、運転開始から約7年。
査定額は約1,500万円。
2基目は、運転開始から約5年。
査定額は約1,800万円でした。
もちろん、
「査定額=必ずその金額で売れる」
という意味ではありません。
それでも、自分の発電所が現在どれくらいの価値として見られているのかを知ることは、
今後、
持ち続けるのか。
売却するのか。
ローンを返済するのか。
別の事業に資金を移すのか。
を考える材料になります。
では、低圧太陽光発電所の査定価格は、いったい何で決まるのでしょうか。
実際に発電所を運営してきた経験から、特に重要だと思う7つのポイントを整理します。
1.FIT単価と残りの売電期間
まず大きいのが、
FITの売電単価
です。
同じ50kW未満の低圧太陽光でも、
売電単価が違えば、今後得られる売電収入も変わります。
例えば、
24円/kWhで売電できる発電所と、
それより低い単価の発電所では、
年間発電量が同じでも売上は違います。
さらに重要なのが、
FIT期間があと何年残っているか
です。
買う側から見れば、
「この発電所を買ったあと、何年間安定した売電収入を得られるのか」
が重要になります。
つまり、
FIT単価 × 残存期間
は査定を考えるうえで大きな要素になります。
2.過去の発電実績
次に重要なのが、
実際にどれくらい発電しているか
です。
シミュレーションではありません。
過去数年間の実績です。
私の発電所の場合も、
毎年の発電量を確認できます。
例えば、
年間10万kWh前後を安定して発電している発電所なら、
購入する側も今後の収益を計算しやすくなります。
逆に、
年によって発電量が大きく違う。
発電量が毎年落ちている。
周囲の木の影が増えている。
設備トラブルが多い。
となると、評価には影響する可能性があります。
だから私は、
太陽光発電所を持っているなら、
毎年の発電量を残しておくことは、将来の売却時にも意味がある
と思っています。
3.設備の年数と状態
当然ですが、
設備が新しいか古いかも関係します。
主な設備には、
- 太陽光パネル
- パワーコンディショナー
- 架台
- ケーブル
- 接続箱
- 遠隔監視装置
などがあります。
特に気になるのが、
パワーコンディショナー
です。
太陽光パネルは比較的長期間使用できますが、
パワコンは途中で交換が必要になる可能性があります。
購入した直後に、
数十万円単位の修繕が必要になる発電所なら、
当然その費用も考慮されるでしょう。
逆に、
設備状態が良く、
点検履歴が残っている発電所なら、
買う側も安心できます。
4.土地は「所有」か「賃貸」か
発電設備だけでなく、
土地の条件も重要です。
例えば、
土地も自分で所有している。
土地は借りている。
この2つでは条件が違います。
借地の場合は、
契約期間。
地代。
契約更新。
土地所有者との関係。
なども確認する必要があります。
一方、
土地付きで売却できる発電所なら、
買い手側からすると分かりやすいケースもあります。
ただし、
土地価格が高いから、
その分だけ査定額がそのまま上がるとは限りません。
あくまで、
発電事業全体としてどれくらい収益が見込めるか
が重要になります。
5.草刈り・水路・フェンスなど管理状態
太陽光発電所は、
発電設備だけで評価されるわけではないと私は考えています。
実際に運営すると、
土地管理がかなり重要です。
私自身も、
草刈り。
除草剤。
フェンス。
水路。
周囲の木。
などを管理してきました。
例えば、
草がパネルの高さまで伸びている。
フェンスが壊れている。
排水が悪い。
水路に泥がたまっている。
周囲の木がパネルに影を作っている。
こうした状態なら、
購入後に手を入れる必要があります。
逆に、
きちんと管理されている発電所は、次の所有者が運営を始めやすい
というメリットがあります。
中古住宅と同じように、
設備だけでなく、
「普段どう管理されてきたか」
も重要だと思っています。
6.ローン残高は「査定額」とは別に考える
ここは、売却を考える場合に非常に重要です。
例えば、
発電所の査定額が1,500万円だったとします。
「1,500万円で売れるなら大きなお金が入る」
と思うかもしれません。
でも、
ローンが1,000万円残っていれば、
単純計算では差額は500万円です。
さらに、
仲介費用。
税金。
登記。
その他の費用。
などが発生する可能性があります。
つまり、
査定額=自分の手元に残る金額
ではありません。
私なら、
査定を受けたら必ず、
査定価格 − ローン残高 − 売却費用
まで計算します。
ここを見ないと、
「思ったより手元に残らなかった」
ということになりかねません。
7.認定・契約の引き継ぎができるか
太陽光発電所を売る場合、
土地と設備だけを渡せば終わりではありません。
FIT・FIP制度上の認定事業者を変更する場合には、内容に応じて変更認定などの手続きが必要です。
資源エネルギー庁も、事業譲渡に伴う認定事業者の変更を変更認定の対象として案内しています。
さらに現在は、10kW以上の太陽光など一定の事業について、事業譲渡に伴う認定事業者変更などの重要な変更を行う場合、変更認定申請の前に説明会や事前周知措置(ポスティングなど)が必要になるケースがあります。
そのため、
「買い手が見つかれば翌日から名義を変えられる」
というほど単純ではありません。
電力会社との契約名義変更なども関係します。
売却を考える場合は、
価格だけではなく、
手続きにどれくらい時間と準備が必要かも確認しておいた方がいいと思います。
私の2基を比べても査定額は違った
私の場合、
2基の低圧太陽光発電所があります。
※設備容量はパネルの合計容量です。パワコンの出力は、いずれも50kW未満です。
1基目
- 運転年数:約7年
- パネル容量:約89kW
- 2025年発電量:約98,550kWh
- 売電単価:24円/kWh
- 査定額:約1,500万円
2基目
- 運転年数:約5年
- パネル容量:約97kW
- 2025年発電量:約104,747kWh
- 売電単価:24円/kWh
- 査定額:約1,800万円
同じ私が所有している低圧太陽光でも、
査定額には約300万円の差がありました。
年式。
残りのFIT期間。
発電量。
設備構成。
土地条件。
ローン。
さまざまな違いがあります。
この経験からも、
「低圧太陽光なら1kWあたり○万円」
のような単純な計算だけで売却価格を判断するのは難しいと感じています。
建設費より査定額が低いから「損」とは限らない
1基目は、
建設時に約1,950万円かかっています。
現在の査定額が約1,500万円なら、
「450万円も値下がりした」
と感じるかもしれません。
でも、
太陽光発電所の場合は少し違います。
7年間、
売電収入を得ています。
その間に、
ローンも返済しています。
つまり、
不動産の値下がりだけを見るのではなく、
これまで得た売電収入+現在の資産価値
で考える必要があります。
例えば、
約1,950万円かけた設備が、
7年後に約1,500万円で売れる。
その7年間に売電収入を得ている。
これなら、
単純に「450万円損した」とは言えません。
ここが太陽光発電所の面白いところでもあります。
査定は「売るため」だけに使わなくてもいい
私は、
査定を受けることと、
売却を決めることは別だと思っています。
例えば、
査定額1,500万円。
ローン残高800万円。
今後10年間の予想キャッシュフロー。
今後必要になる修繕費。
これらを並べれば、
今売る場合
と
このまま持ち続ける場合
を比較できます。
だから、
売るつもりがなくても、
数年に一度、
自分の発電所がどれくらいの価値なのかを確認するのは、
資産管理として意味があると思っています。
高く売れる発電所にするために、今からできること
もし将来売却する可能性があるなら、
今から準備できることがあります。
私は特に、
発電実績を残す
年間発電量。
売電金額。
停止履歴。
これらを整理しておく。
点検記録を残す
点検日。
異常の有無。
修理履歴。
部品交換。
こうした記録も残しておく。
草刈りや設備管理を続ける
査定直前だけきれいにするのではなく、
普段から管理する。
契約書類をまとめる
FIT認定。
電力会社との契約。
土地関係書類。
設備資料。
こうしたものを整理しておく。
これだけでも、
将来売却するときの準備はしやすくなります。
「管理記録」は思った以上に重要になると思う
私は太陽光発電所を運営していて、
管理記録の重要性を感じています。
例えば、
「毎年点検しています」
と口頭で言うのと、
点検記録が残っているのでは違います。
サーモグラフィーで異常がなかった。
フェンスを補修した。
水路を清掃した。
パワコンの異常履歴を確認した。
こうした記録があれば、
発電所がどのように管理されてきたか説明できます。
将来的には、
中古太陽光発電所でも、
「発電量」+「管理履歴」
がより重要になっていくのではないかと思っています。
査定額だけで会社を選ばない
もう一つ注意したいのが、
査定会社です。
例えば、
A社 1,500万円。
B社 1,650万円。
C社 1,800万円。
だったら、
C社を選びたくなります。
でも、
査定額と実際の買取価格が同じとは限りません。
最初は高い査定額を提示して、
あとから条件が変わる可能性も考えられます。
そのため、
査定を比較するときは、
「いくらですか?」
だけではなく、
- その金額の根拠
- 手数料
- 名義変更費用
- 土地手続き
- いつ入金されるか
- 価格変更の条件
なども確認した方がいいと思います。
高額な資産だからこそ、
1社だけで決めない方が安心です。
私なら「売却査定」と「残りの収益」を並べる
最終的に私が一番重要だと思うのは、
これです。
例えば、
今売れば1,500万円。
このまま10年間持てば、
売電収入が○万円。
そこから、
ローン。
草刈り。
点検。
保険。
修繕費。
税金。
出力制御による影響。
などを引く。
そして、
10年後の設備価値も考える。
その数字と、
今売った場合の手取りを比較する。
これをしないと、
本当に売った方が得なのか分かりません。
まとめ|査定額は「発電所の健康診断」と考える
低圧太陽光発電所の査定価格は、
単純に、
「設備容量×単価」
だけで決まるものではありません。
私なら、少なくとも次の7つを確認します。
- FIT単価と残存期間
- 過去の発電実績
- 設備の年数・状態
- 土地条件
- 管理状態
- ローン残高
- FIT認定・契約の引き継ぎ
そして、
査定を受けたからといって、
すぐ売る必要はありません。
むしろ私は、
査定は発電所の「健康診断」のようなもの
だと考えています。
現在の資産価値を知る。
残りのローンを確認する。
今後の売電収入を計算する。
そのうえで、
持つ。
売る。
FIPを検討する。
蓄電池を付ける。
という選択肢を比較する。
太陽光発電を7年運営してきた今、
「いくら発電したか」だけではなく、
「今、この発電所にはどれくらいの価値があるのか」
も把握しておくことが、
これからの太陽光経営では大切だと感じています。
関連記事
昨日の記事では、
という視点から、
7つの判断基準を整理しています。
また、このブログでは、
- FITからFIPへの移行
- 出力制御
- 太陽光併設蓄電池
- 系統用蓄電池
- 遊休地活用
- 卒FIT
についても、実際に太陽光発電を運営している立場からまとめています。
今後も、
「太陽光発電を持っている人が、これから何を考えればいいのか」
という視点で記事を書いていきます。
※太陽光発電所の査定価格や売却条件は、設備、FIT残存期間、土地、契約、発電実績などによって異なります。また、事業譲渡に伴うFIT・FIP認定の変更等には所定の手続きが必要です。実際の売却時には最新の制度と契約内容をご確認ください。


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