太陽光発電所を運営していると、
「最近、出力制御という言葉をよく聞くようになった」
と感じる方もいると思います。
私自身、低圧太陽光発電所を運営していますが、以前は、
発電量が多い=売電収入が増える
という比較的シンプルな見方をしていました。
ところが今は、
発電していても、
電力系統の状況によっては売れない。
そんな時代になってきています。
しかも2026年度末から2027年度にかけて、エリアごとに順次、FIT電源とFIP電源の出力制御の順番も見直される予定です。
今回は、低圧太陽光オーナーとして、
これから出力制御について確認しておきたい5つのポイント
を整理してみます。
そもそも「出力制御」とは?
太陽光発電は、晴れれば大量に発電します。
しかし、電気は、
作る量と使う量をほぼ同時に合わせる必要があります。
春や秋など、
電気の需要が少ないのに、
晴天で太陽光発電量が多い日には、
供給量が需要量を上回ることがあります。
その場合、
まず火力発電の出力を下げたり、
揚水発電や蓄電池を使ったり、
別の地域へ電気を送ったりします。
それでも電気が余る場合に、
太陽光や風力の発電量を抑える。
これが、
出力制御
です。
1.自分の発電所が出力制御の対象か確認する
最初に確認したいのは、
自分の発電所がどの出力制御ルールに該当しているか
です。
出力10kW以上の太陽光発電は、低圧であっても出力制御の対象になり得ます。
なお、10kW未満(主に住宅用)の太陽光は、当面の間、出力制御の対象外としているエリアもあります。
ただし、
設備容量、
接続時期、
接続エリア、
契約内容
などによって条件は異なります。
低圧太陽光だから関係ない、
とは言い切れません。
まずは、
契約している一般送配電事業者の出力制御情報や、
自分の接続契約を確認しておきたいところです。
2.「発電量」ではなく「実際に売れた電力量」を見る
太陽光オーナーは、
年間発電量を確認することが多いと思います。
私もそうです。
ただ、
今後は、
発電した量
だけでなく、
実際に売電できた量
を見る必要があると思っています。
例えば、
パワコン出力が50kWの発電所で、
日中に20%の出力制御がかかったとします。
本来なら1時間で約50kWh売電できる時間帯に、
出力が40kWまで抑えられ、
売電できるのは約40kWhです。
この状態が5時間続けば、
10kWh × 5時間 = 50kWh分が売電収入になりません。
FIT単価が24円なら、
50kWh × 24円 = 1,200円です。
※数字は説明用の仮定です。
※パネルを過積載している場合、朝夕など発電量が制御後の出力に届かない時間帯は、
制御がかかっても売電量はほとんど変わりません。
また、パワコンの上限を超えた分は出力制御がなくても売れないため、
出力制御による損失とは分けて考える必要があります。
そのため、
前年より売電量が減ったときに、
「天候が悪かったから」
だけで判断しないことも大切です。
出力制御がどれくらい影響しているかを確認したいところです。
3.2026年度末〜2027年度にかけて、エリアごとにFITとFIPの順番が変わる
ここは、既存太陽光オーナーにとって特に気になるところです。
これまでFIT電源とFIP電源については、出力制御の考え方に大きな差をつけない運用が基本でした。
しかし国は、
FIT電源を先に出力制御し、その後にFIP電源を制御する
方向で制度を見直しています。
資源エネルギー庁は2026年6月の資料で、
優先給電ルールにおける出力制御の順番を、
FIT電源 → FIP電源
とする方針を示しています。
なお、開始時期は全国一斉ではなく、
各エリアのシステム改修が完了した順に運用が始まる予定です。
現時点で報じられている計画では、
東北・四国が2026年度末、
九州・中部・北陸・関西・中国が2027年度当初、
沖縄が2027年度中頃、
北海道・東京が2027年度末とされています。
自分の発電所がどのエリアにあるのかを、
確認しておきたいところです。
つまり、
FIP電源の方が当面、出力制御を受けにくくなる方向です。
ただし、
電気が非常に余る日や、
出力制御が多い地域では、
FITを制御した後にFIPも制御される場合があります。
なので、
「FIPなら絶対に出力制御されない」
という意味ではありません。
4.だからといって、すぐFIPへ移行すればいいとは限らない
この制度変更を知ると、
「それならFITからFIPへ移行した方がいいのでは?」
と思います。
私自身も気になります。
ただ、
私は簡単には動けないと考えています。
理由は、
私の発電所が現在、
24円/kWhのFIT
だからです。
FITには、
市場価格に関係なく一定価格で売れるという大きなメリットがあります。
FIPへ移行すると、
市場価格、
プレミアム、
バランシングコスト、
アグリゲーター、
インバランス、
蓄電池
など、
考えなければならないことが増えます。
しかもFIPへ移行したからといって、
新たに20年間の支援期間が始まるわけではありません。
既存FITからの移行では、
基本的に元の支援期間の残りがFIPの支援期間になります。
なので、
「出力制御を避けたいからFIPへ移行する」
だけでは判断材料として足りないと思っています。
5.蓄電池の価値が今後さらに高まる可能性がある
出力制御を考えると、
蓄電池の意味が分かりやすくなります。
太陽光発電が多すぎて、
そのままでは売れない。
そこで、
余った時間帯の電気を蓄電池へ入れる。
そして、
夕方など電力需要が増えた時間に放電する。
こうすれば、
発電した電気を捨てずに使える可能性があります。
国も、
出力制御の抑制策として、
揚水発電や蓄電池の活用を位置づけています。
特にFIPでは、
市場価格を見ながら売るため、
FIP+蓄電池
という組み合わせが今後さらに重要になるかもしれません。
出力制御が増えると何が困る?
太陽光発電所オーナーとして一番分かりやすい影響は、
売電収入が減る
ことです。
例えば、
本来なら年間10万kWh売電できる発電所で、
出力制御によって5%分が売れなかったとします。
すると、
5,000kWh分を売れないことになります。
仮にFIT単価が24円なら、
5,000kWh × 24円 = 12万円
です。
年間12万円。
10年間なら120万円。
もちろん、
実際の制御率は地域や年度によって異なります。
ただ、
数%でも長期間続けば、
収益に与える影響は小さくありません。
「出力制御率」を見る習慣をつけたい
これから太陽光発電を運営するなら、
発電量だけではなく、
出力制御率
も見るべきだと思っています。
例えば、
- 年間発電量
- 売電量
- 出力制御回数
- 出力制御時間
- 前年との差
などを記録しておく。
そうすれば、
「最近売電収入が減った原因」が、
天候なのか、
設備故障なのか、
出力制御なのか、
判断しやすくなります。
低圧太陽光オーナーが今後考えたい3つの選択肢
私は今後、
既存の低圧太陽光について、
大きく3つの選択肢を見ていきたいと思っています。
① FITをそのまま続ける
今の固定価格が有利なら、
無理に動かない。
これは十分合理的です。
私自身も現時点ではこの考え方が基本です。
② FIP移行を検討する
FITの残り期間、
出力制御、
市場価格、
アグリゲーター条件などを確認して、
FIPの方が有利なら検討する。
ただし、
「FIPの方が新しいから良い」
ではなく、
収益シミュレーションが必要です。
③ 蓄電池との組み合わせを検討する
発電した電気を、
売れない時間から、
売れる時間へ移す。
将来的には、
これが低圧太陽光でも重要になる可能性があります。
ただし、
蓄電池には導入費があります。
なので、
出力制御による損失額と、
蓄電池の導入費用を比較する必要があります。
太陽光は「発電量だけを見る時代」から変わってきた
私が太陽光発電を始めた頃は、
年間発電量がいくらか。
FIT単価がいくらか。
それを見るだけでも、
かなり収益を予測できました。
でも今後は、
それだけでは足りなくなりそうです。
発電する。
売る。
出力制御される。
蓄える。
時間をずらして売る。
市場価格を見る。
こうした要素が加わってきます。
つまり、
「どれだけ発電したか」だけではなく、「その電気をいつ、どう売るか」
が重要になってくる。
これは、
太陽光発電の大きな変化だと思っています。
まとめ|出力制御を「自分には関係ない」で終わらせない
出力制御は、
太陽光発電が増えたからこそ生まれている問題でもあります。
再エネを増やすためには、
電力系統全体で需給バランスを取らなければなりません。
そのため、
出力制御そのものがなくなるとは考えにくいと思います。
そして2026年度末から2027年度にかけて、エリアごとに順次、
FIT電源をFIP電源より先に制御する方向
へ制度が変わる予定です。
既存の低圧太陽光オーナーとしては、
今すぐ何かを変更する必要はなくても、
少なくとも、
自分の発電所がどれくらい出力制御を受けているのか
は確認しておいた方がいいと思います。
私自身も、
今後は、
発電量だけではなく、
売電量、
出力制御、
FIP、
蓄電池
まで含めて、
発電所の収益を見ていきたいと思っています。
関連記事
FITからFIPへの移行と蓄電池については、
ブログ内でも詳しく整理しています。
また、
系統用蓄電池と太陽光併設蓄電池の違いについてはこちら。
低圧系統用蓄電池の土地活用についてはこちら。


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