低圧太陽光発電所を長く運営していると、最近よく目にするようになった言葉があります。
それが、
「FIP転」
そして、
「FIP+蓄電池」
です。
FIP転とは、すでにFIT認定を受けている発電所を、FIPへ移行することです。
私自身、FIT24円の低圧太陽光発電所を2基運営しています。これまでは、FITの固定価格買取があるため、基本的には、
「発電した電気を、決められた価格で売る」
という運用でした。
しかし最近は、
「FITのまま20年間売り続けるのが一番いいのか?」
「途中でFIPへ移行して、蓄電池を設置したほうが、将来的には有利なのか?」
ということが気になるようになりました。
そこで今回は、低圧太陽光オーナーの立場から、FIP転と蓄電池について調べてみました。
そもそもFITとFIPは何が違う?
FITは「固定価格買取制度」です。認定を受けた太陽光発電所で発電した電気を、一定期間、決められた価格で買い取ってもらえます。
例えば、私の発電所はFIT24円です。市場価格が高くても安くても、基本的には、認定された価格で売電できます。そのため、収益予測が立てやすいのが、FITの大きなメリットです。
一方、FIPは「Feed-in Premium」の略です。FIPでは、電力市場などで電気を売った収入に加えて、プレミアムを受け取ります。
このプレミアムは、固定の金額ではありません。基準価格から、市場価格をもとにした参照価格を引いた差で、月ごとに計算されます。そのため、月によって変わります。
簡単に言えば、
FIT=固定価格で売る
FIP=市場価格を意識して売り、プレミアムで補う
という違いです。
FIP転すると、24円はなくなるのか?
私も最初は、「FIPに移ったら、24円で売れる権利がなくなる」と思っていました。しかし、調べてみると、そう単純ではありませんでした。
FIPの基準価格は、FITの調達価格と同じ水準に設定され、交付期間中は固定されます。つまり、私の場合は、FIP転しても、基準価格は24円水準のままです。
変わるのは、収入の形です。
FIT:24円 × 発電量
FIP:(市場で売った価格 + プレミアム)× 発電量
ただし、FIPにすれば24円がそのまま入る、というわけではありません。収入は、基準価格に近い水準になるよう設計されていますが、実際には、いつ売るか、計画と実績のずれにかかる費用(バランシングコスト)などで、上下します。
つまり、FIP転は、「24円を捨てる」話ではなく、**「24円の固定買取が、市場に連動する形に変わる」**話です。ここを誤解したまま検討すると、判断を間違えやすいと感じました。
FIP転の「期間」で勘違いしやすいポイント
期間については、特に注意が必要だと感じました。
FITが終わってからは、FIPへ移れない
FIP転は、FITの調達期間中に行うものです。FITの20年が終わってから、FIPへ移行して、あらためてプレミアムを受ける、ということはできません。FIP転を考えるなら、FITの期間が残っている間に判断する必要があります。
プレミアムをもらえるのは、FITの残り期間まで
FIPへ移行しても、そこから新たに20年間プレミアムを受けられるわけではありません。FIPの交付期間は、元のFIT調達期間の残り期間です。
例えば、FIT20年のうち10年が経過した時点でFIPへ移行した場合、FIPの交付期間は、原則として残り10年間という考え方です。
つまり、
FIT20年+FIP20年=40年間の支援
になるわけではありません。
「FIPは20年後も続くのでは?」
こう思う人もいるかもしれません。私も、そう考えました。
制度としてのFIPは、今後も続きます。しかし、FIP転した私の発電所が受けられるプレミアムは、FITの残り期間で終わります。制度が続くことと、自分の発電所の支援期間が延びることは、別の話です。
なお、新しく作る発電所への支援は、縮小していく方向です。2027年度以降は、新規の地上設置型の事業用太陽光が、FIT/FIPの対象外になると報じられています。一方、すでにあるFIT発電所のFIP転は、今後も認められる見込みです。
【運転開始年から終わりの時期を書く場合:例)FITの期間は運転開始から20年なので、私の発電所は〇〇年ごろに終わります。】
支援が終わったあとは?
支援が終わったあとも、発電所そのものは使い続けられます。ただし、国のプレミアムはなくなり、自分で売り先を決めることになります。
- 相対契約(発電事業者と買い手が、直接条件を決めて結ぶ契約)
- 市場売電
- 卒FIT向けの買取契約
- 蓄電池を使った市場取引
FIP転は、支援期間を延ばす制度ではありません。残りの期間の売り方を、市場に連動する形に変える制度だと考えています。
低圧でもFIP転はできる?条件は?
低圧(10kW以上50kW未満)の太陽光でも、FIP転はできます。ただし、条件があります。
- 電気事業法上の「発電事業者」であること
- または、小売電気事業者や特定卸供給事業者(アグリゲーター)などに、直接の契約関係に基づいて供給していること
このうち、私のような個人の低圧オーナーの場合は、後者の、アグリゲーターなどとの契約が現実的な選択肢になると考えています。つまり、自分ひとりで申請すれば移行できる、という話ではありません。
制度の要件は変わることがあります。検討するときは、資源エネルギー庁やFITポータルで、最新の情報を確認してください。
では、なぜFIP転を考えるのか?
24円が基準価格として残るなら、「それでもFITのままでいいのでは?」と思うのは当然です。私も、最初はそう思いました。
FIPに移る理由の1つが、出力制御です。
今後は、FITが先に出力制御され、FIPが後になる
再エネが増えている地域では、電気が余る時間帯に、太陽光発電所の出力を止める「出力制御」が行われています。
この出力制御について、国は優先給電ルールを見直し、次の順番に変更する方針です。
FIT電源を先に出力制御し、その後にFIP電源を制御する
これによって、FIP電源の太陽光は、当面、出力制御の対象になりにくくなります。一方、FIT電源は、制御される確率が高くなります。
ただし、次の2点に注意してください。
① 開始時期は、エリアごとに違います。
出力制御の順番の変更は、エリアごとのシステム改修の状況に合わせて、順次始まる見込みです。全国で一斉に始まるわけではないので、ご自身の発電所のエリアの時期は、最新の情報で確認してください。
② FIPでも、出力制御がゼロになるわけではありません。
余剰が特に大きい日や、制御の回数が多いエリアでは、FIT電源が制御されたあとに、FIP電源も制御されます。
出力制御が増えそうだから、FIPへ移る。この考え方は理解できます。ただし、「FIP転すれば必ず得をする」とは限りません。収益は、地域、売り方、契約の条件で変わります。
制度は変わることがあります。最新の情報は、資源エネルギー庁やFITポータルで確認してください。投資や契約の判断は、ご自身の責任で行ってください。


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