低圧太陽光7年目、修繕積立はいくら残す?パワコン故障を経験して考えた資金の残し方

低圧太陽光発電所を運営していると、

売電収入が入るたびに、

「今年もこれだけ売れた」

と確認します。

私もそうでした。

でも7年ほど運営してきて、最近は少し見方が変わりました。

売電収入のうち、いくらを発電所のために残しておくべきなのか。

こちらを考えるようになったからです。

今年、私の発電所では田淵電機のパワコンの冷却ファンが劣化し、

ファンを3個交換しました。

真夏には、ファンがエラーで停止し、

パワコン内部の温度が上昇して、発電量が落ちました。

今回はファン交換で済みました。

でも次は、

パワコン本体かもしれない。

遠隔監視装置かもしれない。

フェンスかもしれない。

そう考えると、

売電収入をすべて「使えるお金」と考えるのは危ないと思うようになりました。

今回は、低圧太陽光を7年運営してきた私が考える、

修繕積立の考え方

について書いてみます。


目次

太陽光発電は「毎年同じ利益」が出るわけではない

太陽光発電は、

比較的収入を予想しやすい事業です。

特にFIT期間中なら、

売電単価は基本的に決まっています。

年間発電量が大きく変わらなければ、

売上もある程度予測できます。

そのため、

売電収入が毎年安定していると、

維持費も毎年同じくらいだと思ってしまいます。

しかし実際には違います。

ある年は、

ほとんど修繕費がかからない。

別の年は、

パワコン修理が必要になる。

さらにその先には、

高額な設備交換が来る可能性があります。

つまり、

支出は毎年均等には発生しません。

ここが太陽光発電を長期運営するうえで注意したいところです。


「今年修理がなかった=利益が多かった」ではない

例えば、

今年は修繕費ゼロだったとします。

売電収入が250万円。

ローンや税金などを払って、

それでもある程度お金が残った。

すると、

「今年は利益が多かった」

と考えたくなります。

でも、

翌年にパワコン交換で大きな費用が発生するかもしれません。

そう考えると、

今年余ったお金の一部は、

本当は来年以降の修繕費だったとも言えます。

私は最近、

「修理がなかった年に修繕費を積み立てておく」

という考え方が大事だと思うようになりました。


今年のファン3個交換がきっかけだった

今年、

田淵電機のパワコンの冷却ファンを3個交換しました。

これは、

発電所を始めた頃には考えていなかった支出です。

設備が新しい頃は、

大きな故障もありません。

でも7年目になると、

少しずつ部品の劣化が見えてきます。

しかも、

真夏にはファンがエラーで停止し、

パワコン内部の温度が上昇しました。

パワコン本体が完全に壊れたわけではありません。

それでも、

発電量は落ちました。

この経験から、

「設備は突然壊れる」のではなく、

少しずつ修繕期へ入っていく

のだと実感しました。


では修繕積立はいくら必要なのか?

ここが一番難しいところです。

「年間○万円積み立てれば大丈夫」

と一律には言えません。

発電所によって条件が違うからです。

例えば、

  • 設備容量
  • パワコンの台数
  • メーカー
  • 設置年数
  • 保証期間
  • 土地の状態
  • 遠隔監視設備
  • 草刈りを自分でするか外注するか

などによって変わります。

だから私は、

定額を機械的に決めるより、「将来起こりそうな修繕」を先に洗い出す

方が分かりやすいと思っています。


私なら最初に5つの修繕候補を考える

低圧太陽光なら、

まず次の5つを考えます。

1.パワコン

一番大きな候補です。

本体交換となれば、

まとまった費用になる可能性があります。

今使っている機種が生産終了していれば、

後継機や配線変更なども考える必要があります。


2.遠隔監視設備

遠隔監視も永久に使える設備ではありません。

通信機器。

ルーター。

計測装置。

クラウドサービス。

など、

どこかが故障する可能性があります。

発電所へ頻繁に行かないなら、

遠隔監視は重要な設備です。


3.フェンス・門扉

台風や積雪、

経年劣化で、

フェンスが傾いたり破損したりすることがあります。

設備そのものではありませんが、

安全管理上は必要です。


4.配線・接続部

ケーブル。

コネクター。

接続箱。

こうした電気設備も、

長期間屋外で使用します。

見た目では分からない異常もあるため、

点検と修繕費を考えておく必要があります。


5.土地関係

水路。

法面。

砕石。

防草。

周囲の木。

発電設備ではありませんが、

ここにもお金がかかります。

私自身、

発電所管理では草刈りや水路管理なども行っています。


「最大の修理1回分」を意識しておく

私なら修繕積立を考えるとき、

一つの目安として、

今後起こり得る大きな修理を1回できる金額

を意識します。

例えば、

パワコンに大きなトラブルが発生した。

そのとき、

ローンを新たに組まないと修理できない。

これでは、

発電所の経営が不安定になります。

反対に、

修繕用のお金を別に確保していれば、

対応しやすくなります。

「何年間で元を取るか」

だけではなく、

「突然いくら必要になっても対応できるか」

も発電所経営では重要だと思います。


売電用口座に全部残す方法もある

難しい仕組みにする必要はないと思います。

例えば、

売電収入が入る口座から、

生活費や別の投資にすぐ移さず、

一定額を残す。

あるいは、

修繕専用口座を作る。

こうした方法でも十分です。

大事なのは、

「これは使ってもいいお金」

と、

「発電所のために残しておくお金」

を分けることです。


ローン返済が終わる前こそ注意したい

ローン返済中は、

毎年大きな返済があります。

そのため、

売電収入の使い道は比較的明確です。

ところが、

ローン返済が進むと、

手元に残る金額が増えてきます。

そこで、

「自由に使えるお金が増えた」

と思ってしまうかもしれません。

でも、

設備年齢も同時に上がっています。

つまり、

ローン負担が減る時期と、修繕リスクが増える時期が重なる

可能性があります。

私はここを意識しておきたいと思っています。


FIT終了まで設備を持たせるには修繕が必要

FIT期間が残っているなら、

その期間、

できるだけ安定して発電してもらいたい。

例えば、

FITがあと10年以上残っているのに、

パワコンが故障したから修理できない。

では困ります。

FIT期間を最後まで活用するなら、

設備を維持するための資金も必要です。

つまり、

FIT残存期間=これから設備を維持しなければならない期間

でもあります。


売却する場合でも修繕積立は無駄ではない

将来、

発電所を売却するかもしれません。

それなら、

修繕積立は不要では?

と思うかもしれません。

私はそうは思いません。

売却するまで、

設備を正常に動かす必要があります。

さらに、

管理状態。

発電実績。

修理履歴。

などは、

査定時にも重要な材料になります。

故障したまま売却するより、

適切に管理されている発電所の方が説明しやすいはずです。


修理するか売るか迷う金額になったら出口を考える

逆に、

大きな修繕費が必要になったときは、

出口を考えるタイミングでもあります。

例えば、

高額なパワコン交換が必要になった。

そのとき、

あと何年FITが残っているか。

年間いくら利益が残っているか。

発電所はいくらで売れるか。

これを比較します。

修繕して10年持つのか。

今売るのか。

FIPや蓄電池を考えるのか。

その判断材料になるのが、

これまでの記事でも書いてきた、

発電所の年間収支と現在の査定額

です。


「修繕積立」を経費と混同しない

ここは注意が必要です。

自分で、

「将来の修理のために50万円を別口座へ移した」

としても、

それだけで税務上の経費になるわけではありません。

あくまで、

自分の資金管理として積み立てる

という話です。

実際に修理や交換を行った場合の会計・税務処理については、

内容によって扱いが変わる可能性があります。

ここは税理士などに確認した方が安全です。


私なら毎年11月に見直す

私は、

毎年同じ金額を積み立てる必要はないと思っています。

例えば、

設備が新しい時期。

設備が10年に近づいた時期。

ファン交換などが増えてきた時期。

それぞれ、

必要な修繕予算は違います。

だから、

年末前に、

  • 今年の故障
  • 来年の設備年齢
  • 保証状況
  • 発電量
  • FIT残存期間
  • 現在の修繕積立額

を見て、

来年どれくらい残すか考える。

この方法が現実的だと思っています。


7年目の今、利益より「壊れたときに困らないか」を見る

太陽光発電を始めた頃は、

年間売電収入。

利回り。

返済。

こうした数字をよく見ていました。

でも7年ほど運営すると、

少し視点が変わります。

今は、

「もし明日パワコンが故障しても、すぐ対応できるか」

ということも考えます。

高い売電収入があっても、

修理資金がなく、

数か月停止してしまえば意味がありません。

太陽光発電の長期運営では、

利益を最大化することだけでなく、

止めないための資金を持つ

ことも大切だと思っています。


まとめ|売電収入の一部は「未来の発電所のお金」

今年、

田淵電機のパワコンの冷却ファンを3個交換しました。

真夏には、

ファンの停止による温度上昇で、

発電量が落ちることも経験しました。

この経験から、

私は、

売電収入の見方が少し変わりました。

売電収入が250万円あったとしても、

その250万円すべてが、

自由に使えるお金ではない。

その一部は、

将来、

パワコン。

遠隔監視。

フェンス。

配線。

土地管理。

などに必要になるかもしれません。

つまり、

今日入った売電収入の一部は、未来の発電所のお金

なのだと思います。

修繕積立に絶対的な正解はありません。

ただ、

設備が古くなってから慌てて準備するより、

少しずつ残しておく。

私は7年目になって、

その重要性を強く感じるようになりました。


関連記事

今年のパワコントラブルについては、

「低圧太陽光のパワコン交換はいつ考える?7年運用して感じる『壊れる前に確認したいこと』」

で紹介しています。

また、

「低圧太陽光7年目、年間収支をどう見る?」

「低圧太陽光発電所は売るべき?持ち続けるべき?」

「低圧太陽光発電所の査定価格は何で決まる?」

などの記事と合わせて読むと、

発電所の長期運営を考えやすくなると思います。

▶ ヒロの再設計ノート
https://aiworkstylelab.com/

※この記事の「修繕積立」は発電所オーナーとしての資金管理についての考え方です。税務上の修繕費、資本的支出、減価償却などの扱いについては、税理士などの専門家へご確認ください。

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